top of page

お知らせ

今月はいよいよ年に一回の大祭です。四国八十八カ所の「お砂踏み」を行います。10分足らずで四国八十八カ所の札所を回ったのと
同じだけのご利益がいただけるというおすすめの行事です。
法要は午前10時からと、午後8時からの2回行います。ぜひご参拝ください。

 

過去の「ともしび」は​

不動院機関誌「ともしび」

とグーグル検索などの打ち込んでみてください。

​すべてのページが読めます。

 

 

ともしび   

            

第百六十三号

人間万時塞翁が馬3

 

人間万事塞翁が馬のことわざについて、個人的に思うことがありますので、今月も書かせていただきます。私が高校入試に失敗して失意の三年を送っていたとき、進学高校に入った連中は、それで慢心してしまってさほっているだろう、こっちは泥水をすすってでも頑張り抜いて、さほっている連中に絶対勝ってやろうとリベンジに燃えました。運命というものは皮肉なもので、高校に落ちた私が高校の教員になり、しまいには受験指導の専門家として進学高校に勤務することになりました。

実際上勤めてみると、高校時代に私が予想していたのと寸分たがわず、全体の八割くらいの生徒は、進学高校に入ったのだから、あとは高校が何とかしてくれるだろうと考えて、努力するのをやめてしまいます。私は、昔に想像した様子と、現実があまりにぴったりだったので、げんなりしてしまったものです。人間、怠惰に流れたら最後、凋落するのは坂道を転げ落ちるように早いものです。高校合格はあくまで通過点にすぎないのですが、多くの者がそれを人生のゴールと勘違いします。進学高校にもずいぶん長く勤めましたが、忘れられないのが、センター試験前日の思い出です。教室に残っている男子生徒の様子がおかしいというので見に行ったら、青白い顔をしてがたがた震えています。明日がセンター試験だというのに発熱してしまったら大変だと思って事情を聞くと、病気ではないと言います。では、なぜそのような様子なのかと聞くと、

「自分は受験に失敗せずに今まで来たのに、模試の結果は最悪で明日のセンターでは点数が取れそうにない。初めて失敗しそうで、それが怖くて震えが止まらない。不安で仕方ないから担任の先生に(中年の女性です)抱っこしてほしい。」

私は教員の立場があるので、それは無理だと言って帰宅させましたが、内心ではものすごく腹が立って、危うく殴ってしまうところでした。私が高校時代に絶対に打ち勝ってやろうと執念にもえた進学高校の生徒の実態が、こんな腰抜けだったのかと思うと、自分の青春時代の努力を侮辱されたような気さえしたのです。甘ったれるにも程があります。失敗経験がない人間のハートは、こんなにも、ガラスのようにもろいものなのかと思いました。トラブルがないに越したことはないのですが、恵まれた環境しか与えないと、人間は脆弱になります。こんな心臓では本番は無理だろうと予想していたら、案の定、受験した大学全てを落ちてしまいました。気持ちで負けていては結果は出ません。

有名進学高校に入るくらいのお子さんですから、親御さんにとって自慢の息子さんだったのは間違いなく、大事に育ててしまう気持ちはよく分かります。問題なのはこの生徒さんの場合、大切にするあまり、自分でやるべきことも、全て親御さんがやってしまって、彼に失敗や挫折をすることを経験させないままに、十八歳を迎えさせてしまったであろうことです。かわいがるだけが親の愛情なのではありません。

私があまり好まないやり方は、

「腹をすかせた人の代わりに魚を取ってやる」

というものです。魚を与えてもらった人は喜びますが、それを食べてしまえば、また最初と同じことになります。正しくは、

「魚の取り方を教えてあげる」

というものが正しいのです。魚の取り方を覚えれば、そのあとは自分の力で何とかなります。手取り足取り親切にしてあげるのが、本当に相手のためになるのかどうかは、一考する必要があると思います。このことは進学校に限りません。私は進学校のほか、ちょうど成績が中間くらいの高校にも十年勤めましたし、その前は学力が最底辺の教育困難校にも長くいました。学力が低い学校に勤める先生の中にも、この「代わりに魚を取ってやる」というやり方で指導をしている人が時々います。要するに、

「ここの学校の生徒はあれもできない、これもできない、だから代わりに教員の私が何もかもしてやらないといけない。」

という発想です。受験する大学から受験科目、勉強する内容まで全部決めてしまって、

「ここの学校からなら、この進学先しか受からない。他を受けては絶対にだめ。受かりっこない」

などと、やたら決めつけて生徒の将来まで完全に干渉したがります。だいたいの場合はうまくいきません。理由は簡単で、受験にのぞむのは当の本人であり、先生や親御さんが代わりに受験するわけにはいかないからです。

 私の場合は全く逆で、情報は完璧に提供するが、どこを受験しようが浪人の選択をしようが、最後は絶対に自分で選択をしてもらうということを徹底してきました。その代わり、どんな結果が出ても人のせいにはできません。数限りないくらいの人の進路選択のお世話をしてきましたが、「絶対に合格する」「絶対に受からない」の、この二つだけは言わないようにしてきました。受験してみないと結果など分からないからです。次回は、その実例について少々お話ししたいと思っています。

 

522-0342  滋賀県犬上郡多賀町敏満寺178番地

電話  0749-48-0335  FAX  0749-48-2679 

高野山真言宗清涼山不動院

 

 

  • Facebook Social Icon
  • Twitter Social Icon
  • Google+ Social Icon
bottom of page